Web3業界におけるGincoのポジション

現在のWeb3業界は下層からプロトコル・インフラ・ユースケース・コンテンツの4レイヤーに整理できます。Gincoはこの4レイヤーのうち、インフラ層に位置するWeb3企業です。

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ブロックチェーンそのものを開発するプロトコル層

Web3のレイヤー構造において最も根底に位置するのは、プロトコル層と呼ばれるレイヤーです。

そもそも、ブロックチェーンという仕組みはLinuxなどと同様にOSS(Open Source Software)として開発されているアプリケーションの一種であり、クラウドやデータセンターといったサーバーを介して世界中で稼働することで、ネットワークを形成しています。

プロトコルとは、ネットワーク内でデータの更新・共同の仕組みを定義する情報通信の規格のことで、ビットコインやイーサリアムなどを総称してブロックチェーンプロトコルと呼んでいます。ブロックチェーン技術の誕生以来、多数のプロトコルが開発されており世界中で1000種類以上のネットワークが稼働しています。

プロトコル層の主なプレイヤーは、これらを開発するOSSエンジニアやプロトコルごとの財団・コミュニティなどです。彼らはプロトコルのスケーラビリティの向上や、新しいユースケースを見据えた規格化の議論・開発・アップデート、利用者拡大の為の啓蒙活動などを行うことで、より多くの人に利用されることを目指して日々しのぎを削っています。日本の例ではAstarやOasysがこの領域に参入するプレイヤーです。

ブロックチェーンを使いやすくするインフラ層

こうしたブロックチェーンプロトコルを用いる際の課題を解決し、従来のWebサービス開発の世界とブロックチェーンの世界の橋渡しを担うのがインフラ層です。

Webサービスの開発現場では、スピードの向上や負担軽減のため自社ですべてをまかなわず、外部の専門企業が提供するAPIやSDKなどを活用することが一般的です。

Web3の世界でもこれと同様に、ブロックチェーンとデータをやり取りするための「ノード」、トランザクションを発行し価値の移転を行うための「ウォレット」など、どのサービスでも必要となるような機能群がインフラサービスとして提供されています。

また、決済や為替取引、貸借、ローンなどの金融的な機能をブロックチェーン上のスマートコントラクトを用いて実現する取り組みはDeFiと称されており、あるDeFi自体が別の金融領域のユースケースにそのまま埋め込まれて活用される場合もあります。

インフラ層の主なプレイヤーは豊富な知見と技術力を有するブロックチェーン企業です。そういった企業たちは、持ち前の専門性と技術力を活かしブロックチェーンのユースケースがより容易に実現できるよう日々改善を加えています。日本ではGincoがここに当てはまります。

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実際にユーザーが利用するユースケース層

ユースケース層は、プロトコルやインフラを利用して実現されるサービス群の総称です。

Web3サービスとして注目を集める「OpenSea」や「Axie Infinity」、「STEPN」といったサービスはどれもみなこのユースケース層にはいります。

これらのユースケースは私たちが普段目にするサービスと同様にプラウザを用いたWebサービスやスマホ上のアプリケーションとして提供されています。

ゲーム会社やIT企業など既存の世界でサービスを提供している事業者がWeb3に本格的に参入する際の主戦場もこのユースケース層です。

ユースケース層の主なプレイヤーは、ゲームやマーケットプレイスなどエンドユーザー向けのサービスを提供する事業者たちです。

本記事冒頭でも「Web3とは、金融的な機能を有するデジタルアセット(トークン)を従来のWebサービスと組み合わせる事で、サービスの成長速度を速める手法である」と解説しましたが、プロトコル層とインフラ層がデジタルアセットを扱うための環境を提供することで、一般の事業者がユースケース層で目に見える「Web3サービス」を実現できる、というわけです。

マスアダプションに重要な役割を果たすコンテンツ層

最後に紹介するコンテンツ層は、とりわけNFTなどのデジタルコンテンツをブロックチェーン上で利用する際に重要な意味を持つレイヤーとなっています。

この領域は企業が保有するIPをNFT化する、NFTゲームとコラボする、クリエイターが作品をNFTマーケットプレイスに出品するといった手法を総称したものです。

ゲームやマーケットプレイスの中には、そこにコンテンツが供給されてはじめて価値を発揮するものがあり、コンテンツがユースケース層で扱われることでコミュニティも活性するようになります。

参入障壁の低さから間口が広く開かれており、芸術家・ミュージシャン・出版社・レコード会社・ゲーム会社・アイドルやお笑い芸人まで多岐にわたるプレイヤーが参入しています。

「企業が●●をNFT化」などの形式で紹介される事例も、大部分がこのコンテンツ層にあたります。

重要性を増すインフラ層の役割

「Web3」への進出が盛んになるなかで、多くの企業がもっぱらユースケース層とコンテンツ層への進出を検討している状況にあります。

こうした企業の参入を助けるインフラ層の果たす役割がますます重要になっており。2022年上半期を振り返るKPMGの調査でも「暗号資産とブロックチェーンの世界への投資は、ますますインフラに焦点が当たる」と分析されています。

Gincoはこのインフラ層で事業を展開する数少ない日本のWeb3スタートアップとなっています。